遡及
「遡及(そきゅう)」とは、過去に遡(さかのぼ)って,効力を及ぼす(発生させる)ことです。
法律の効果は、条件等の法律要件が満たされた時点で発生するのが原則ですが、法律が特別に定めた場合(遡及効(そきゅうこう)が定められている場合)には、効果が遡って発生します。
例えば、取得時効(民法162条)の効果は、その起算日である占有開始時に遡ります(民法144条)。
つまり、取得時効が完成した場合には、その占有を開始した時点から、その所有権が占有者にあったこととなるのです。これは、効果発生が所得時効の完成時点では、それまでの占有が不法な占有となり、それまでの権利関係の処理が色々と複雑になるからです。
このように、効果を遡らせる理由(必要性)がある場合には、法律で効果が遡及すると定められているのです。