調書判決
「調書判決(ちょうしょはんけつ)」とは、裁判官が判決書を作成する代わりに、書記官が調書に判決の内容等を記載して行う判決をいいます。
裁判所は、通常、審理を進めて、最終的に判決をして裁判を終了させます。
判決は、言い渡す必要がありますが、その内容を書いた書面(判決書)を作成するかどうかは場合によります。
民事事件では、判決の言渡しは判決書の原本に基づいてする必要があるので(民事訴訟法252条)、通常は判決書が作成されます。
しかし、例外もあります。
- 被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず,その他何らの防御の方法をも提出しない場合
- 被告が公示送達による呼出しを受けたにもかかわらず口頭弁論の期日に出頭しない場合(擬制陳述の場合は除きます。)
上記の場合で、裁判所が原告の請求を認めるときは、例外的に判決書の原本に基づかないで判決の言渡しをすることができます(民事訴訟法254条1項)。
その場合、裁判官が判決書を作成する代わりに,裁判所書記官が口頭弁論期日の調書に判決の内容等を記載します。
(そのため、「調書」判決といいます。)
刑事事件(地方裁判所または簡易裁判所)の場合も調書判決があります。
刑事事件では、判決の言渡しを判決書の原本に基づいてする必要はないので、判決の時点では、通常、判決書は作成されていません。
もちろん、何もなしに判決を言い渡すのは大変なので、ほとんどの場合、判決の内容を記載したものは作成します。
押印していないだけで判決書と何ら変わらないものを作成する裁判官もいれば、一部を省略したメモを作成する裁判官もいます。
(ちなみに、何も作成せずに判決を言い渡すことを「勧進帳」と呼んだりします。)
判決の言い渡し時点で判決書を作成していなくても、判決の確定前に判決書の謄本の請求があった場合や、上訴の申立てがあった場合は、裁判所は判決書を作成しなければなりません。
そうでない場合は、裁判所書記官が公判期日の調書に判決主文、罪となるべき事実の要旨、適用した罰条を記載して、判決書の代わりとすることができます。
(刑事訴訟規則219条)
これが,刑事事件での調書判決です。