訴えの変更
「訴えの変更(うったえのへんこう)」とは、民事訴訟の係属中(裁判が提起されてから終了するまでの間)に、原告が請求の趣旨または請求の原因を変更することをいいます。
例えば、損害賠償請求の訴訟を提起していて、
最初は「被告は、原告に対し、100万円を支払え」という請求の趣旨だったけど、
損害額が120万円だったことが判明したので、
請求の趣旨を「被告は、原告に対し、120万円を支払え」
と変更するという場合です。
訴えの変更には、請求する金額を増やす(「請求の拡張」)場合などだけではなく、新たな請求を増やす(「訴えの追加的変更」)場合などもあります。
請求の趣旨や原因が変わる場合、訴訟を取り下げて、もう一度訴訟を提起し直せというのもひとつの考え方ですが、それでは原告も被告も裁判所も手間が増えるだけなので、訴えの変更によって、訴訟継続中に請求の趣旨または請求の原因を変更することが認められているのです。
しかし、無制限に訴えの変更ができるとなると、原告の軽率な訴訟提起によって被告も裁判所も振り回されてしまうことになります。
そこで、訴えの変更ができるのは、
・変更前の請求と変更後の請求の基礎に変更がなく
・訴訟手続を著しく遅滞させない場合
に限られます。
また、
・口頭弁論の終結まで
という制限もあります。
訴えの変更に伴って訴額が変わる場合には、変更後の訴額による印紙額と訴状ですでに貼ってある印紙額との差額を追貼する必要があります。