弁論準備手続
「弁論準備手続(べんろんじゅんびてつづき)」とは、口頭弁論以外で、争点や証拠の整理のために設けられる準備手続のひとつです。
(法曹関係者は、省略して「弁準(べんじゅん)」と呼びます。)
弁論準備手続は、口頭弁論と異なり、誰でも傍聴できるわけではなく、裁判所が許可する人しか傍聴できません。
したがって、当事者が求めた当事者の関係者(典型的なのは、当事者が会社である場合の従業員)が傍聴することはありますが、それ以外のひと(当事者と関係のない一般の傍聴人)が傍聴することはほとんどありません。
弁論準備手続が終わると、口頭弁論で、その結果を陳述しなければならないことになっています。
(といっても、弁論準備手続が終わった次の口頭弁論期日の最初で、裁判官が「弁論準備手続の結果を陳述します。」と言うだけですが。)
当事者双方に訴訟代理人として弁護士がついているときは、口頭弁論ではなく、弁論準備で手続を進めることがほとんどです。
以前は、弁護士がついているときの準備手続は、弁論準備の一択でした。
そして、当事者の一方が遠方の場合は、弁論準備手続を電話会議で行うのが通常でした。
(電話会議で行う場合、当事者の一方はその期日に出頭しなければならなかったので(改正前の民事訴訟法170条3項ただし書き)、近い方の当事者は、裁判所まで行かないといけませんでした。)
しかし、ウェブ会議が行われるようになってからは、むしろ、書面による準備手続として、ウェブ会議を行うことの方が多くなってきています。
(裁判所によるとは思いますが、少なくとも福岡の裁判所はそうだと思います。)
2023年3月1日施行の民事訴訟法の改正により、弁論準備手続をウェブ会議で行うことができることになりました。
(上記民事訴訟法170条3項が改正されて、弁論準備手続を、当事者双方とも裁判所へ行かないで、電話会議やウェブ会議で行えるようになりました。)
当事者双方に弁護士がついているときは、手続をウェブ会議で進めるという流れは変わらないと思います。
その場合、手続が弁論準備手続になるか、書面による準備手続になるかは、しばらく様子を見てみないと分からないでしょう。