善管注意義務
「善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)」とは、「善良なる管理者の注意義務」を省略したことばです。
「善良なる管理者の注意義務」とは、その人の社会的・経済的な地位に応じて求められる注意義務のことです。
(「善良なる管理者」の注意義務といっても、管理しているひとが良い人かどうかは関係ありません。)
法律では、ものを管理している立場によって、そのものをどの程度注意して管理しなければいけないかが決まっています。
そのうち、普通の注意義務よりも高い注意義務を「善管注意義務」といいます。
それに対して、普通の注意義務は「自己の財産に対するのと同一の注意義務」といって区別します。
例えば、自分のカメラを有料の荷物預かり所へ預けたとします。
預かり所は、報酬をもらってカメラを預かっているわけですから「善良なる管理者の注意義務」で保管する必要があります。
(プロとしての責任をもって保管すべきということになります。)
一方、友人宅へ遊びに行って、持って行ったカメラを忘れてきたとします。
カメラを預かっている友人は、何の報酬もなく(所有者が忘れていったという理由により)保管している訳ですから、報酬をもらって預かっているひとと同じ責任を負わせては、かわいそうです。
そのような場合、友人は、「自己の財産に対するのと同一の注意義務」で保管すれば十分となります。