公示送達
「公示送達(こうじそうたつ)」とは、相手方当事者が所在不明の場合に、訴状などを送達するための制度です。
(民事訴訟法110条以下)
訴状や判決は、相手方当事者(被告等)に送達されないとその後の手続が進められないので、相手方が所在不明でも手続を進められるように公示送達の制度があります。
相手方が所在不明で公示送達が予想される場合でも、まずは最後の住所地などへ通常の送達をしてもらいます。
それで送達できなければ、裁判所の書記官から調査をするように指示されます。
そこで、送達できる場所を調査した結果を記載した報告書を添付して、公示送達の申立てをします。
報告書には、住民票などを追って最後の住所地を特定したこと、その住所地には相手方とは別のひとが住んでいることなどを記載して、通常の調査では相手方の所在を知ることができないことを報告します。
裁判所書記官は、申立てを受け、報告書の内容などを見て、送達すべき場所を知ることができないなど公示送達の要件(民事訴訟法110条1項各号)が充たされると判断したら、公示送達の手続を行います。
具体的には、送達すべき書類を保管して、公示送達書(書類をいつでも交付する旨の文書)を裁判所の掲示板に掲示します。
もちろん、実際には、所在不明の相手方がこれを見ることはまずありませんので、そのまま一定期間(2週間)が経過したら、相手方へ送達されたとみなされるのです。
訴状の公示送達の効力が生じると、訴訟の手続を進めることができるようになります。
相手方(被告)が出席してくることはないので、いわゆる欠席裁判となり,原告の請求がそのまま認められることになります。