付郵便送達
「付郵便送達(ふゆうびんそうたつ)」とは、書留郵便等で送付する方法による送達のことです。
(民事訴訟法107条)
「送達(そうたつ)」とは、裁判所が当事者へ書類を交付することです。
裁判所が当事者へ送る書類には、当事者が受け取ったこと(およびいつ受け取ったか)を明確にすべき書類(例えば、訴状、判決など)があります。
そのような書類は、裁判所から当事者へ「送達」する必要があります。
(以下では、訴状の送達について説明します。)
通常、送達は、「特別送達(とくべつそうたつ)」という方法により送達されます。
これは、郵便局のひとが被告に郵便を渡して、受領者から受領した証明(署名または押印)をもらう方法です。
配達時に被告が不在だった場合、被告の郵便受けに「不在票」が入りますが、一定期間、被告が受け取らなければ、送り主(裁判所)に「留置期間徒過」で返送されてきます。
その場合、裁判所書記官から原告に対し、「留置期間徒過」で返送されてきたという連絡があります。
原告は、休日に送達してもらったり、就業場所が分かればそちらへ送達してもらったりしますが、それでも送達できなければ、付郵便送達を行うことになります。
付郵便送達をしてもらうには、被告が宛先の住所に必ず住んでいるということを調査して,裁判所に報告しなければなりません。
この報告とともに、付郵便送達(書留郵便に付する送達)の上申をして、書記官が付郵便送達をすべきであると判断すれば,書留郵便等で訴状を郵送します。
付郵便送達は、書留郵便等で裁判所から発送した場合には、その発送時に送達があったものとみなされます。
(これが特別送達との最大の違いです。)
したがって、その後、発送した訴状が「留置期間徒過」などで裁判所へ戻ってきても(被告が訴状を受け取らなくても)、発送時に訴状が被告に届いたとして、その後の手続が進められます。
このように、付郵便送達には、被告に訴状が届かなくても手続が進められ、被告は反論の機会がないまま判決される可能性があるという非常に強力な効果があります。
そのため、付郵便送達をしてもらうための調査(被告が宛先の住所に必ず住んでいるという調査)をしっかりやらないと書記官は付郵便送達を認めてくれません。