仮差押
「仮差押(かりさしおさえ)」とは、民事保全の種類のひとつであり、文字通り、「仮に」行う差押のことです。
裁判で勝訴したけれども、債務者が財産を処分していて差押えができないという事態を避けるため、裁判を起こす前に、債務者の財産を仮に差押えておこうという制度です。
法曹関係者は、仮差押のことを省略して「かりさし」と呼びます。
裁判所は、債権者の意見だけを聴いて、債権者の言い分がもっともらしければ(本案の裁判で債権者が勝訴する可能性があり、債務者が財産を処分する可能性があると判断すれば)、仮差押を許可します。
しかし、裁判所は、本案の裁判の前に、債務者の意見も聴かずに仮差押の可否を判断するので、その判断が間違っている可能性も大いにあります。
したがって、債権者の言い分が間違っていて、誤って債務者の財産が仮に差し押さえられたため、債務者に損害が生じた場合の保険を掛けておく必要があります。
そのため、仮差押をするにあたって、債権者は、原則として担保の提供をしなければいけません。
具体的には、裁判所から指定された金額の担保金を供託所(法務局)に供託して(預けて)、発行された供託書(○○円を預かりましたという書類)を裁判所へ提出することにより担保を提供します。
(それ以外に、「支払保証委託契約(ボンド)」による担保提供の方法もあります。)
本案の裁判の結果、債権者の言い分が通らなくて、その結果、債務者に損害が生じた場合には、債務者は、債権者が提供した担保金から損害の賠償を受けることができます。