民事保全
「民事保全(みんじほぜん)」とは、民事訴訟の結果である判決等の権利の実現を保全するため、訴訟等の前に行う仮差押えや仮処分の手続のことです。
民事上の権利を実現するためには、訴訟を提起するなどして債務名義をとり、強制執行をする必要があります。
しかし、訴訟を提起してから強制執行を行えるまでには時間がかかるため、勝訴判決をとって、いざ強制執行というときには、すでに債務者は係争物の財産を処分してしまって権利の実現は不可能となっていることもあります。
そこで、将来の強制執行を可能にするために民事保全という制度があります。
訴訟提起する前の段階で、債務者に財産を処分されないように処置する手続であり、本案(ほんあん:民事保全の後で提起される民事訴訟のこと)が終了するまでの権利の保全が目的です。
民事保全には、
- 緊急性:速やかに行わなければ目的を達成できない。
- 暫定性:本案が確定するまでの(仮の)ものである。
- 付随性:本案訴訟を前提とする。
という特徴があります。
民事保全の種類には、大きく分けると以下の3つの区分があります。
- 仮差押
- 係争物に関する仮処分
- 仮の地位を定める仮処分
これらは、被保全権利は何か、保全の必要性(現在か将来か)によって分かれます。